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February 21, 2006

フィリピンの地滑り災害は痛いニュース

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比の森林、30年で53%消滅 違法伐採、地滑り誘発 中国へ密輸も

 【バンコク=岩田智雄】フィリピンで起きた大規模地滑り災害は、森林の違法伐採が原因の一つであることが指摘されている。フィリピンに限らず東南アジア各国ではこれまで、無計画な森林破壊が繰り返されてきた。過去、木材の主な輸出先は日本だったが、現在は中国向けが増え、その流通ルートには政治家や密輸業者が暗躍しているとされる。

 フィリピンでは、一九六〇年代から七〇年代にかけて主に日本への輸出を目的とした大規模な森林伐採が行われた。最近でも、貧困による違法伐採や焼き畑が後を絶たず、過去三十年で53%の森林が消滅した。過去にも大雨による土砂災害がたびたび発生しており、環境保護団体は、地元有力者や政治家が業者と癒着して違法伐採をはびこらせてきたと指摘してきた。

 カンボジアでは内戦時代、違法伐採された木材はタイへ売られ、ポル・ポト派などの戦闘資金になっていたが、現在は違法木材の多くが中国へ流れているとみられている。ロンドンに事務局を置く環境監視団体、グローバル・ウイットネスは違法伐採に政府高官が関与しているとする報告書を作成。地元紙カンボジア・デーリーも違法伐採をめぐるわいろが役人のポケットを潤していると指摘している。

 カンボジアでは六〇年に国土の73%だった森林が二〇〇〇年には35-50%に減少したといわれる。魚の産卵場所を提供している水辺の樹木の伐採で、東南アジア最大の湖、トンレサップ湖の漁獲高が減少しているほか、メコン川流域では土砂災害を誘発し、二〇〇〇年には過去七十年で最悪の三百五十人が死亡した。

 一方、インドネシアからも違法木材が大量に中国や日本へ渡っていることが、昨年十一月に日本で行われた国際会議「アジア森林パートナーシップ」(AFP)で報告された。インドネシアと英国の合同調査によると、インドネシアで生産される木材は、半分から四分の三近くが違法伐採されたもので、背景には密輸業者の横行や官吏の汚職があるという。

 中国との関係を深めるミャンマーからも大量の違法木材が中国南部へ陸送されている。グローバル・ウイットネスの調査によると、木材の95%は違法に輸出されたもので、その量は年間百万立方メートルに及ぶと推測されている。

 中国は自国での森林破壊が進み、洪水の発生被害が多発している。このため、国内での伐採を抑制する代わりに、東南アジアやロシアからの輸入を増やしている。中国の木材輸入量は、九七年には五千四百万立方メートルだったが、〇二年には一億二千二百万立方メートルと二倍以上になり、木材輸入国としては日本を抜いて米国に次ぐ二位となっている。

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秋田杉の産地であり主要産業が木工業である秋田県北部が故郷の身としては、非常に心が痛いニュースだ。

フィリピン、タイなど、1960年代に主要木材輸出国であった国々は1990年代末には一転して木材輸入国となってしまった。原因は、違法な焼畑や伐採など森林資源の過度の利用による森林の減少・劣化、そして自由貿易促進による安価な輸入材の流入、その結果、樹木植栽が衰退したためだ。

1960年代にこれらの国々の木材主要輸出国であった我が国日本は、罪滅ぼしとして(?)ITTO(国際熱帯木材機関)を通じて支援を行っている。

ITTOは1986年に設立された横浜に本部を有する国際機関(国連条約機関)である。

横浜に本部があるのは、日本が、輸入が減少傾向とはいえ熱帯木材に頼っている現状があるから、そして日本がITTOの最大の支援国であるからだ。

しかし、その支援空しく、相変わらずフィリピンなどでは違法伐採のうえ輸出、しかも国内の製材業は安価な輸入木材に頼るという妙な矛盾が生じている。輸入材が幅を利かせていては伐採地に植林なんて行われるわけもなく、ハゲ山は永遠にハゲ山のまま、森林破壊は進んでいくわけだ。

私は自由主義経済至上主義を前面否定はしたくないが、その至上主義のあだ花をこんな東南アジアの山林で見せられるとは。

上記の報道によれば中国でも森林破壊による災害が多発したため国内での伐採を自粛。その結果、中国の木材輸入が倍増しているという。
中国経済の発達とともに資源争奪戦の激化と、資源枯渇の問題が大きくなりつつある。中国はもう自国の発展だけを考えていてはダメで、もっと自主的に問題を解決する行動を起こして欲しいんだが・・・あの国には無理か。

フィリピンの違法伐採は官民の腐敗が背景にあるようだが、その結果、山林の住民が災害の被害に見舞われるなんて、なんという不条理。フィリピン当局には、そういう脱法行為は厳重に取り締まって欲しい。

しかし。。。

防災のためとか、資源を守ろうとか言ったって、貧困が目の前に立ちふさがっていれば、現地は

「そんな奇麗ごとはもうたくさん!」

なのだろうね。かくいう私の故郷だって、名物である杉の植栽面積はこの10年で半減にまでなっている。貧乏には勝てないのだ。税制や雇用で優遇したってスギの衰退は加速している。

小学生の頃、秋田杉の保護林見学に参加したとき、そこの現場の方が誇らしげに杉林の説明をしてたっけな。今でも地元では秋田杉で作られた製品は一目おかれる高級品だし、その杉の香りとともに他に誇れる故郷の文化でもある。

おそらくは今回災害にあったフィリピンのミンダナオやレイテにだって、同じような森林文化があるだろうに、違法伐採つまりは金儲けのために無残にも森林破壊が進んでるなんて、、、心が痛いね。

故郷で不景気にあえぐ地元の人々と重なって見えて、痛い。なにせ、あのバブル絶頂の時でさえ不景気から抜け出せず、北欧の木都からはるばる「バブリーにっぽんの木都」の取材にきた青い目のクルーたちが、急きょテーマを替えて「バブリーにっぽんの影」にしたっちゅうくらいの、筋金入りの不景気だからね。根が深いのよ。

フィリピンの森林も故郷の秋田杉も、この先、廃れていくだけなのかしら。

空しいねぇ。何とかしたいねぇ。

とにかく今回の災害では何か役に立ちたいと思う。

文末に参考文献を載せておく。

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環日本海貿易拠点 あきた

 秋田県は県全体の面積の約7割を森林が占め、その森林面積は全国7位の広さ(83万8千ha)を有しています。中でも、民有林の人工林面積は25万3千haで、その約90%を占める杉の人工林の面積は全国一です。
 秋田県の木材産業を需給面から見ると、供給量に関しては国産材と外材が半分ずつとなっていますが、国産材のシェア50%というのは日本全国平均の2倍以上であり、豊富な森林資源を有していることが分かります。
 需要量については、1998年で263万立方メートルあり、パルプ、製材、合板が主な製品です。
 このように秋田県における木材・木製品は、重要な地場産業になっています。

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東京木材問屋協同組合
日本の木材自給率

 日本の国土総面積約378千km2のうち森林面積は約251千km2、およそ3分の2が森林です。しかし国内の森林資源だけでは、わが国の旺盛な木材需要を満たすことはできません。
 年間木材総需要1億100万m3のうち、1,910万m3(18.9%)が国産材で、8,190万m3(81.1%)が海外からの輸入材です。

 パルプ・チップが木材総需要の実に41.8%を占めています。チップの一部はパーチクルボードやMDF(中質繊維板)等の原料(2.4%)になりますが、大部分は製紙原料(39.4%)です。
 木材総需要の約4割、3,980万m3が紙として消費されています。
 輸入木材の中からパルプ・チップとその他を除いた、製品・合板・原木の4,180万m3(41.4%)が通称外材といって木材業界の取り扱っている分野です。

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東京木材問屋協同組合

1980年は 南洋材が輸入材のうちの45.2%
2002年は 12%へ激減

現在、南洋材の70%がマレーシアからの輸入

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CIFORホームページ
2005年1月11日付け  自由貿易と森林
Second thoughts about free trade (Jan 11, 2005)

 林産物に関する自由貿易協定は、「森林に良い」と考える経済学者もいるでしょう。しかし、それに対する疑念もあります。フィリピンとタイで実施された林産物輸入関税の引き下げ、インドネシアで実施された輸出関税の引き下げが、それぞれの国の森林に与えた影響が調べられました。

 1960年代から70年代にかけて、フィリピンは木材輸出国でした。しかしながら、森林資源の過度の利用により、1990年代にはフィリピンは木材輸入国となりました。天然林からの高級材が枯渇したことにより、フィリピンの合板製造業者は農家が植栽・生産する木材を合板原料として使用するようになりました。農家から購入した木材は、材質が悪いために合板表面に使用することはできませんでしたが、合板内部に使用するには十分な材質をもっていました。合板材生産のために植栽された樹木により、環境的な利益も得られていたのです。

  フィリピン国政府は1995年には合板の輸入に対して50%の関税をかけていましたが、国際的な圧力を受け、1997年に合板輸入関税を20%に引き下げました。関税引き下げにより、同国内の合板産業は輸入合板との価格競争を戦うことが困難となり、その結果、同国内の合板生産量が少なくなり、木材の販売先を失った農家の樹木植栽への意欲が失われました。

 タイでも同じようなことがおこりました。1965年から95年の30年で森林の半分以上が失われたタイも、木材輸出国から木材輸入国となった国です。1990年代、タイ国政府は森林を修復することを目的に、農家による在来樹種の植栽を奨励するため補助金をだしました。しかし、期待されたほどの成果は上がりませんでした。成果があがらなかった原因の一つに、植林奨励策がとられる数年前に木材の輸入関税が大幅に引き下げられたことが挙げられます。製材業者や合板製造業者は、農家が生産する樹木よりも、外国から輸入する安い木材を購入することを好んだのです。

 インドネシアには、天然林が残っており、林産物の輸出は重要な産業です。しかしながら、同国の森林は急速に減少し続けています。1990年代後半、政府が木材輸出関税を引き下げたことにより、森林伐採が加速されたと考えられます。

 政府は、貿易に関する取り決めや適切な森林政策により、森林の修復を推進するとともに天然林の破壊を避けることができるはずです。森林の持続的な利用のためには、国際貿易機関(WTO)は林産物を他の工業生産品や農産品と区別して取り扱う必要があるでしょう。この考えは、自由貿易を推進する人々から見れば異端なものです。しかし、検討の価値はあるはずです。

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平成四年版 環境白書 総論
第3章 第2節 3 国際関係と途上国の環境 より

フィリピン産のラワンは、合板加工に適しており、その高い品質で国際的に知られていたため、伐採が進み、輸出量が60年代を通じて急増し続けた。内外からラワン材伐採の行き過ぎを懸念する声が上がり、ついにフィリピン政府も、資源保護と木材加工業の振興を目的として1976年(51年)丸太輸出禁止措置を導入し、1986年(61年)丸太輸出が完全に禁止された(第3-2-14図)。この間、1950年(25年)には国土の50%を超えていた森林面積は、1988年(63年)には22%にまで減少し、ラワンの原生林(フタパガキ林)は3%を残すだけとなるなど、フィリピンの森林の減少、劣化は著しく進行した(第3-2-15図)。この森林の減少・劣化の原因は、森林火災や不連切な商業伐採、違法な焼畑、農地の拡大などが、相互に関連しあって生じたものと指摘されている。
 フィリピンの木材輸出の変化は、これらの原因により、自然環境資源ストックが減少・劣化し、その結果として貿易量が減少したり、貿易の形を変化させたことを示している。

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ITTO(国際熱帯木材機関)の概要

ITTO(国際熱帯木材機関)は、「1983年国際熱帯木材協定」(85年発効)に基づき1986年に設立された我が国(横浜)に本部を有する国際機関(国連条約機関)。

3.我が国のITTO支援
(1) 我が国は、世界最大の熱帯木材輸入国であることから、熱帯木材の我が国への安定供給を確保し、熱帯林の保全と熱帯木材貿易の促進について国際的な貢献を行うことを目的として、ITTO本部を横浜に誘致した経緯あり。
(2) 我が国は、ITTOに対する最大のドナー国。設立当初より、ITTOの政策形成に積極的に関与するとともに、途上国からの要請を踏まえ多数のプロジェクトに拠出。
(3) ITTO本部のある横浜市も、地方自治体としてITTOの活動を積極的に支援。

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秋田県 森林整備状況
◎スギの植栽面積

平成16年度の新植面積は353haであるが、うち本県の代表樹種であるスギについては、適地の減少や林業採算性の悪化などから7年度には920haであったものが16年度には265haまでに減少している

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