極東のワイドショーの過剰な期待
今日は雑感。
つい今朝ほどW杯ドイツ対ポルトガル戦が終わり残すは決勝戦イタリア対フランス戦を残すのみ。寂しいのぉ・・・。
一方で、寝不足のために頭がガンガンするのも明日で終わりか・・・と思うと少しホッとしたりもして。
今朝のポルトガルの負けっぷりも気の毒だったなぁ。いくら強豪同士だとしても、あんな負け方をするのだね・・・。
さて、ひきこもり妊婦の私は昼間のワイドショーヲチが日課となっているのだが、ここ数日間、どの番組も北朝鮮の話、中田引退の話、王監督の話ばっかでいささか食傷気味なのである。
食傷気味になると根性が少しばかりイヂワルになる傾向があるらしく、その矛先は神妙な面持ちで『?』なコメントを発するワイドショーのコメンテーターに向きがちになるのだった。
日本チームが敗退してからめっきり減ったW杯情報だが、たま~に真昼間の主婦向けワイドショーの最中に取り上げられることがあるのだ。中でもフランスはジダンとともに取り上げられることが多い。「お?」と注目する私。しかし、いただけないのがその時のコメンテーター達。もともとサッカーに興味の薄い方々なのに、なんとかコメントしなきゃいけない苦しさからか
「フランスは最近も差別が原因で問題が起きているけれど、その差別の対象である移民出身のジダンが頑張っているのはいいですね」
「みんなでジダンを応援すれば、その差別問題を克服するキッカケになると思いますね」
てなことを、のたまうのであった。
これ、私のイヂワル根性に速攻で点火。フランス暴動のこともジダンのことも実はよく知らないし興味も無いくせに(少し調べたら速攻で分かることなのに)したり顔で大人風なコメントすな!単純な差別問題にすり替えんな!・・・等等、その後は該当のコメンテーターとそれに同意した草野さんとか小倉さんとか大和田さんにブーイングの私であった。
確かにヨーロッパのサッカーの試合で人種差別的な野次や嫌がらせは存在し、それが問題となっていることは事実。でもそれと先のフランス暴動は全くの別問題だし、フランス暴動とジダンも関係ねぇっぺ?(茨城弁)というのが私の感想だ。
極東の真昼間のテレビで何をのたまおうが全世界的には『屁』ほどの影響でしょうが、しかしイヂワル根性の妊婦約1名はムキになって反論してしまうのだった。いと哀れ。
なんかねぇ、、、視聴者が無知だと思ってか、浅い知識でコメントしてんのが許せんのだよ。
別にわたしゃフランスの研究者でもなければフランスに居た事も無い。が、この極東の小さな島国に居ても情報は得られるんだもの。正しくないことには反論せずにはおれんでしょ。
*****
『Tant Pis!Tant Mieux!そりゃよござんした。』
ここらでもう一度、Mr. Made in Marseilleの登場だ!
(…略…)
ところがジズゥ(ジダンの愛称:kits注)の先祖であるKabyleカビル族の人々はイスラム教を信仰すれど、アラブ人との混血を選びませんでした。それが原因で現在に至るまで「自称アラブ」となったアラブ系マグレブ人からカビル系マグレブ人は「アラブの血を引いていないこと」を理由に差別されています。
(…途中略…)
私のかつてのマグレブアラブ系クラスメート♀たちは「ジズゥはイケないヒトよ」と言います。
なぜジズゥがイケないヒトなのか、その理由は次の通りです。
*イスラム教徒なのにイスラム教徒女性ではなくスペイン人の踊り子
Veronique (ヴェロニク)と結婚した。
*つまりイスラム教徒ならアラブ女性と結婚してアラブの血を引く子をなす
べきである。
*ジズゥは子供二人にマグレブの名前ではなく欧州系の名前を与えた。
ジズゥのお子たちの名はEnzo (エンゾ)とLuca (ルカ)です。
んまあ、黙って読んでりゃ、ココ半月ほどどこぞで悪の権現とみなされる「一見普通のフランス人」と世界中から憐憫の情を集めている「(フランスで最も差別される)北アフリカ出身イスラム教徒の方々」のどちらが血統大好き主義者なんだかわからなくなってきますね。とにかく上述3点はマグレブアラブのイスラム教徒としてはこの上なく「イケないジズゥ」なんだそうです。
(…途中略…)
このような背景があるせいでしょうか。今回の暴動に限らずマグレブ系の問題が共和国内で勃発してもジズゥは引っ張り出されません。「フランスで最も差別されているかわいそうな人々」と呼ばれている方々に差別やら区別されているのがジズゥなんであります。
でも暴れん坊さんたちも、ジズゥをあーでもこーでも言うヒトも、ジズゥご本人も、みんな、
現在は「フランス共和国民」です。
*****
確かにジダンは差別・区別されてる人種の出のようではあるけれど、その差別をしているのは「一見普通のフランス人」よりもジダンと同じ「(フランスで最も差別される)北アフリカ出身イスラム教徒の方々」なのだという事実↑。「フランスの差別問題をジダンが救う!白いおひと(生え抜きの仏人)も浅黒いおひと(移民)もジダンを応援すれば皆仲良し!」なんていうロジックは極東の島国にのみ通じるロジックなのでは御座らぬか。
更にもうひとつ。
私の感想を言えば、あのフランス暴動は移民への差別が原因というよりは下記のような摩擦が原因な気がしている。
「フランス共和国民」の定義というか認識はこんな感じではなかろうか…「フランス共和国民」であれば移民であろうがどんな信仰宗教の人間であろうが「フランス共和国民」としての義務と責任を平等に負う、と同時に「フランス共和国民」としての権利を平等に得られる…
ところが、「フランス共和国民」として負うべきこの「義務」と「責任」を、自己の信仰宗教や出身国の慣習を理由に平気で放棄し、一方で「権利」ばっか得ようとする〝一部の人間〟が居り、その人たちと、あくまで「フランス共和国民」としての「義務」と「権利」を果たしてもらおうとする普通の「フランス共和国民」との摩擦が暴動の主たる原因ではないのだろうか。そして、そういう〝一部の人間〟に移民の方々が多いということなんぢゃなかろうか、と私は理解している。
ジダンを応援したからって、こんな問題を解決できんのか?え?
あたまん中、お花畑にしてんじゃねーよ…
・・・kitsのブーイングは続くのであった。
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